胃薬の使い分け
「今年の夏は、もの凄く暑い!」食欲は落ち、気がつくと冷飲料やアイスだけをたべている。「なんだか胃が重いな~」という毎日ではありませんか。
今回は、胃の症状から考える「胃薬の使い分け」についてみていきたいと思います。
「胃薬」に入っている成分について
市販の胃薬は、概ね次のような成分を含んでいます
①消化成分(炭水化物・脂質・タンパク質を分解する酵素を補う)
②健胃成分(苦みや香りにより、唾液や胃液の分泌を促す)
③制酸成分(胃酸を中和する。胃酸の分泌を抑える)
④胃粘膜保護・修復成分(胃粘液の分泌を促す。胃粘膜を保護する。荒れた胃粘膜を修復する)
⑤鎮痛・鎮痙(ちんけい)成分(胃の痛みを抑え、胃の痙攣(けいれん)を抑える)
総合胃腸薬には、この①~⑤までの成分がバランスよく配合されている商品がありますが、①~⑤のいずれかを主成分とした胃薬も多数あります。胃の症状による胃薬の使い分けをみてみましょう。
※①~⑤のほかに、ストレスなどの原因による神経性胃炎や慢性胃炎を改善する漢方薬もあります(安中散加茯苓(あんちゅうさんかぶくりょう)。
・「太田胃酸漢方胃腸薬Ⅱ」など
症状からみた「胃薬」の選び方
<食べた後にいつも胃がもたれたり、食べ過ぎた後に胃がもたれる>
まっさきに考えられるのは、消化不良です。特に夏場は水分の摂りすぎや冷えが原因である事が考えられます。
①「消化成分」や②「健胃成分」の入った胃薬を選びましょう。
特に、脂っこい食品を食べた後に胃もたれする場合は、リパーゼ(脂質を分解する酵素)が入った胃薬がおすすめです。
・『セルベールプレミアム』『キャベジンα』『第一三共胃腸薬』など
<酸っぱいものがあがってくる。空腹時胃が痛い>
胃酸の出すぎや、胃粘膜が荒れていることが考えられます。③「制酸成分」④「胃粘膜保護成分」が入っている胃薬を選びましょう。
・『ガスター10』『太田胃酸』『スクラート胃腸薬(顆粒)』『ガストール』など
<急な胃痛や吐き気>
何らかの原因で、胃が通常と違った動きや、動きすぎたり(亢進)したことが考えられます。④「鎮痛・鎮痙(ちんけい)成分」を主成分とした胃薬を選びましょう。
・『ブスコパンA』『サクロンQ』など
この胃薬は、症状が出た時に飲む(頓服(とんぷく))ものが多く、5~6回服用しても症状が改善しない場合は、原因究明のため医師に相談することが肝心です。また、胃痛・吐き気のほか、下痢・発熱などの症状がある場合は、感染症の可能性があるため最初から医師に受診して下さい。
<胃薬の使用上の注意点>
胃薬は、市販薬の中で一番使用されている薬のひとつかもしれませんが、次の成分は
特に注意してほしい成分です。
・抗コリン成分(抗アセチルコリン)
成分名では「ロートエキス」「ピレンゼピン」など。
特に、授乳中の方や緑内障のある方は要注意です。必ず、注意書きを読んで下さい。
・制酸成分
腎臓病の方は、アルミニウムやマグネシウムの入っている胃薬は注意が必要です。
特に透析を受けている方は、アルミニウム成分は絶対使用していただきたくない成分で
す。
成分名では「アルミニウム~」のほか、「スクラルファート」「合成ヒドロタルサイト」
「アルジオキサ」などです。
いずれの胃薬も、「一週間程度(薬によっては数回)服用しても改善がみられない」
あるいは「薬を使用したその時は良くなるけど、またすぐ元の症状が出る」などの場合 は、薬剤師・登録販売者などの資格者までご相談ください。
付録・今回の薬用植物
ボリジ(ルリジサ、Borago offcinalis)は、ムラサキ科ルリジサ属の一年草。
南ヨーロッパ原産の一年草。コンパニオンプランツとして園芸にもよく用いられる。ハーブとして花を食用する。また、花や葉の浸出液に抗ストレス作用が期待されている。