2021.06.24

吊り下げて使用する「虫よけ」と「バポナ殺虫プレート」ってどう違うの?

夏の虫除けのCMに「虫コ〇ーズがほんまに効いてんのかどうか、『いっぺん外してみるわ』って去年言っていた吉田さん、どうなったか知らんけど・・・・・・・今年はぶらさげているわ」という印象的なCMがありました。

「虫除け」の「虫」ってなんだろう?

夏になると、ドラッグストアの店頭に「虫除け」関連グッズが大量に陳列されます。ところが、殺虫剤定番コーナーに行くと「アリ」「ハエ」「ゴキブリ」「ハチ」「ダニ」など虫ごとに違う殺虫剤が並んでいます。店頭にある「虫除け」の「虫」とは何を指すのでしょうか?

ユスリカ・チョウバエ について

たとえば「虫除けバポナネット」や「虫コナーズプレート」という商品の適用害虫欄には【ユスリカ・チョウバエ】とあります。ユスリカは蚊柱を作ることでも知られています。「カ」とありますが「蚊」の仲間ではなく「ハエ」の仲間です。見た目は「蚊」に似ているのですが、「うるさい」「不快」ということはあっても、人を刺したりすることはありません。

これらの商品に使用されている薬剤はいずれも【ピレスロイド系】の薬剤で、蚊取線香に使われている【除虫菊】などの殺虫成分の仲間です。適用害虫は【ユスリカ・チョウバエ】となっていますが、【ピレスロイド系】の薬剤は、実際はもっと多くの虫に効果がありそうです。室内やベランダ・玄関などに吊り下げて使用します。

「バポナ殺虫プレート」について

上記の「虫除け」商品はどこでも入手可能(スーパー・ホームセンターなど)ですが、薬剤師の常駐するドラッグストアや薬局でしか購入できない「バポナ殺虫プレート」という商品があります。こちらはリスク分類の第1類医薬品に該当するので薬剤師が対面で販売する義務がある商品です。「殺虫」とあるように、虫を殺すことができます。効能・効果は【ハエ、蚊及びゴキブリの駆除】とあり、ハエや蚊やゴキブリに非常に効果があります。薬剤は「ジクロルボス」で【有機リン化合物系】の殺虫剤です。使用場所は、「次の場所のうち、人が長時間留まらない区域:店舗、ホテル、旅館、工場、倉庫、畜舎、テント、地下室」と記載されています。長時間「バポナ殺虫プレート」のある場所に留まっていると、頭痛や、めまいなどが起こることがあるため「バポナ殺虫プレート」は、使用する場所に注意が必要です。

害虫の駆除は、虫の種類・駆除する場所を考慮しましょう

身近な不快害虫に「小バエ」と呼ばれる虫がいますが、「バポナ殺虫プレート」の効能・効果に「ハエ」は記載されていますが、「小バエ」とは記載されていません。「ハエ」と「小バエ」は有効な薬剤が異なり、扱いが変わります。

「小バエ」は「ショウジョウバエ・ノミバエ・キノコバエ・チョウバエ」など、小さなハエの総称です。代表的なものは「ショウジョウバエ」と「チョウバエ」ですが、小バエは総じて、殺虫剤が効きにくいと言われています。そこで「コバエがホイホイ」や小バエ専用の忌避スプレーが販売されています。ただし「コバエ〇〇」という商品名でも、たいてい適用害虫欄には、「チョウバエ・キノコバエ」の記載がありません。なかでも「チョウバエ」は水回りでよく発生するので厄介です。チョウバエを駆除する際には、購入の商品の適用害虫欄に「チョウバエ」の適用があるか必ず確認して下さい。

今回は、虫除け・殺虫プレートのお話でしたが、どの害虫を駆除する場合でも、摘要欄に駆除したい虫の記載がなければ、効果が低い可能性があります。

たとえば「ゴキブリ」は卵鞘をお腹に備えた状態で移動します。危険を感じると卵鞘をお腹から切り離すという習性を持ち、親だけを殺しても後から卵が孵ってしまうのでなかなか駆除ができないという事態になります。ハエ・蚊用の殺虫剤を使用しても、ゴキブリはいずれ死にますが、時間がかかるので卵を切り離してしまう可能性があります。「ゴキブリ」専用の殺虫剤は、瞬時に効果がでるため卵の切り離しを防ぐことができ、親と卵を同時に殺虫します。

このように殺虫剤・忌避剤を購入する際には、【適用害虫】または、医薬品の場合は「効能・効果」をきちんと確認し、対象とする害虫、想定する使用場所を考慮して選びましょう。 わからないことは、薬剤師や登録販売者にお気軽にお尋ね下さい。

付録:今回の薬用植物

「アミガサユリ」

アミガサユリは、ユリ科バイモ属の半蔓性多年草。

中国原産で日本に野生種はないとされる。

乾燥させた鱗茎を「貝母(バイモ)」とよばれる生薬として用いる。

去痰、鎮咳、催乳、鎮痛などの効果があるとされ、清肺湯、滋陰至宝湯などに使われている。

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